【−1】むにょん

怪異以前に、状況そのものが今ひとつ把握できなかった。
“電車から降りる時の段差”というものがどこを指すのかがどうもわからない。
(いろいろと考えてみたのだが、最終的には、旧式のディーゼル車のような階段状のステップのある電車ではないかという結論に達したのだが、どうであろうか)
そのスケールがわからないから、むにょんのあやかしの大きさや様子などがイメージしきれない。
想像するに“わらびもち”や“くずまんじゅう”のようなあやかしなのだろうか。
それから怪異の内容から考えると、友人の証言が是非とも欲しかった。
この怪異は体験者本人以上に、周囲で体験者の動きを見ていた者の方が把握しやすい位置にいたと思われる。
だからこそ、どんな風な動きを見せたかをはっきりと聞いて表現した方が、より鮮明な怪異譚となったように感じる。
怪異体験自体が一瞬の動きをコマ割にして説明描写しないと明瞭にわからないと思うので、もっと多くの描写が必要だろう。
全体的に舌足らずという印象である。