【０】仏花

非常にイメージしやすい内容であり、それ故に「さもありなん」で終わってしまったように感じる。
どうしても“菊の花＝人の死”というイメージが先行してしまうのが原因であると思う。
実話だからどうしようもないのだが、この作品では“あったること”を書くだけでは怪談話としてのインパクトに欠けるきらいがある。
はっきり言ってしまうと、このような作品は単独作として評価しようがないという意見である。
例えば、大ネタが並ぶ作品群の中で“小さな怪異”としてアクセントに使用する方が際立つと思うのである。
決して馬鹿にできない作品であると思うが、こういう大会では「不利」の一言である。
故人と菊の花との因果があるとか、“匂い”怪談として非常に特殊なケースであるとか、そのような付加価値がないと、単独の怪談話としては高い評点は付かないということで。