【+2】青い部屋

ラブホテルの怪異も、よく考えると結構多い。
この作品もその中にあっては、割とよく見るタイプの怪異である。
例えば、事に及ぼうとすると霊体が視線の端々に見える、室温やバスの湯の温度が異常に低くなるあたりは、ラブホテル怪談の定番と言ってもおかしくないだろう。
この作品ではさらに“部屋が揺れる”という珍しい怪異が書かれているが、怪異が連発しているにもかかわらずねばって部屋にいたためのボーナス怪異なのかもしれない。
とりたてて凄い怪異という訳ではないのだが、作者の筆さばきが上手いために、なかなか読ませてくれる内容に仕上がっている。
スピーディーな展開と、際どいところで卑猥にならない表現で、読者を飽きさせずに引っ張っていっていると思う。
特に後日談は体験者の何とも言えない性格が滲み出ていて、妙にあっけらかんとしたオチで終わらせている。
この手の怪談話は、最後はおどろおどろしい事件の報告で締められるケースが多いのだが、そのような大時代的なパターンにも陥らずに、意外な終わり方で面白かったと思う。
どうしても典型的な怪異パターンがほとんどだったということで、好評価までは至らず。