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日常の一コマを切り取ったような雰囲気を持つ怪異である。
怖くもないが、それでいて十分不思議な話である。
子供の頃と全く同じシチュエーションで現れたために全然怖さというものがないし、実際体験者自身が霊であると気づいた後も恐怖感に襲われている様子もない。
むしろ霊ではあるが肉親との触れあいに懐かしさを感じている風に見えるところが、非常に優しい雰囲気を作りだしている。
また霊がリンスとシャンプーを取り違える事実であるが、霊だから万能ということはなく、このように生前と全く同じ状況の場合、やはり生前の行動と同じ結果になることの方が通例である。
その点でこの間違いが、この話のリアリティに繋がっていると言っていいだろう。
どうしても小粒なネタなので、好評価にまでは至らずであるが、癒し系の良い感じの怪談としてはなかなかの出来ではないだろうか。
ネタを十分に活かす作者の意図がよく見える作品である。