【＋３】洗濯

超−１

何とも不思議な体験談である。
なぜ起こったのかという原因も分からなければ、なぜ収まってしまったのかという根拠もない。
とにかく“あったること”だけを淡々と書くしか表現の仕様もないという、まさに手の付けようのない程よく分からない話である。
体験者のきちんと状況を観察しており、また作者がそれを丁寧に描写していると思う。
だからこそ怪異に遭遇しているという緊迫感が出ており、また読者もそれを追体験することができる状態にある。
しかし気になったのは、“テルテル坊主”という表記である。
もしこの表記が正しければ、シーツは上部で完全にくびれた状態になっており、浮き上がる原因となっている何かあるもの自らがシーツにくるまって浮かび上がっている様子になってしまう。
イメージとしてはむしろ西洋のアニメーションに出てくるようなお化けのような形だったのではないだろうか。
何かがシーツを頭からかぶっているだけの状態で浮かび上がっていたように思えてならない。
そのあたりの様子に少々違和感を覚えるが、怪異そのものに何か不都合なことがあるわけでもないだろう。
記録性の面で水準以上の出来を見せているので、好評価とさせていただいた。