2007-05-21から1日間の記事一覧

【+2】蟻地獄

とにかく文章による描写が巧いので、ストーリーに入り込みやすい作品であると言える。 体験者の視線から書かれた展開であるが、色々な点でそれを最大限に生かしているという印象である。 内容についても衝撃的な部分はあまりないが、奇怪な体験であることに…

【+1】卒業の記念に

実は、タイトルと、冒頭の“学ラン”という言葉で、いきなり“第二ボタン”というイメージが出来上がってしまった。 先に怪異のネタに直結するものに行き当たってしまったために、最後の部分を読んでも「やはりそうか」で終わってしまった。 さすがにこれは作者…

【−1】トイレにて

あり得ない場所であり得ない声を聞いたら、やはりそれは恐怖の対象になるだろう。 体験者とすれば魂が消え入るほどの恐怖感を味わったことは疑いない。 だが、それを実際に体験していない人間に伝えることが難しいのも事実である。 まず思ったのは、果たして…

【+3】洗濯

何とも不思議な体験談である。 なぜ起こったのかという原因も分からなければ、なぜ収まってしまったのかという根拠もない。 とにかく“あったること”だけを淡々と書くしか表現の仕様もないという、まさに手の付けようのない程よく分からない話である。 体験者…

【+1】デート

掌編ならではの面白味を出してくれた好作品。 これ以上情報が削られると解らなくなるというギリギリのところまで切り詰めた文章である。 「怪訝そうな顔」という一言で、それまでの情報が全て怪異であったことを示しているのは、なかなかの筆さばきであると…

【−4】学校の池

何ともリアルさがないストーリーである。 荒唐無稽さは致し方ないとして、夜の学校へ忘れ物を取りに行くという始まりから、明らかに“グレイ”を意識して書かれたあやかしの描写、小学6年生にもなってこれだけとんでもない事態に遭遇しながら「先生……なにやっ…

【−4】朝礼の前に

体験者の目撃が事実であるという前提がこの大会の絶対条件であるが、この作品に関してはこの条件に抵触するのではないかと思わせるほど際どい内容に感じた。 しかもそのような危うい雰囲気を作りだしたのが、他ならぬ体験者自身のノリの軽さであるからどうし…

【+2】悪霊

冒頭から滔々と書かれている【悪霊論】は個人的に非常に近しい理論展開であり、こういう考え方をしている“見える人”がいることは、なかなか心強いと感じた。 ただしこの理論と怪談話は別物である。 前半の論説は全面的に賛意を表するが、後半から始まる怪談…