【0】老いても

犬にまつわる不思議な話であるが、ありきたりという印象である。
たまたま犬が年老いていて番犬のように威嚇しないだろうと思っていたらやりました、というレベルの話であって、その条件さえなければよくある話で終わってしまうだろう。
飼っている動物画あやかしを追い払うという話だけでは、やはり希少性もインパクトもないということである。
しかしそれ以上に問題なのは、怪異のありきたりさである。
ラップ音と足音というだけでは、まさに迫力不足の感は否めない。
しかもこれは猫たちが反応したという根拠で怪異であると認識できるものであり、もしそれもなくただ犬がその方向に向かって唸ったという記述だけでは、下手をすると犬も耄碌して錯覚したと叩かれてもやむなしというレベルであるだろう。
全ての面において微々たる怪異という内容であり、プラスに働く要因もなければ、マイナスの方もないといったレベルでの評価ということである。