【−３】マロ

超−１

この作品も、あやかしの描写に既存のイメージを持ちだしてきたために大きくマイナスとさせていただいている。
ただし、今までの問題とは違う次元での苦言となる。
麿赤兒という俳優、知名度で言えばやはり「？」の部類に入る人物だろう（特徴のある容貌の方なので、見ればかなりの人が判るとは思うが、名前だけではちょっと…）。
作者にとっては印象に残る馴染みのある役者さんかもしれないが、それが一般に認知されているかどうかは全く別次元の話である。
普通は既存イメージでキャラを明瞭にしようとして出してくるのだが、今回は逆にイメージが分かりにくくなってしまった感が強い。
自分では分かり切ったシチュエーションだからといって具体的な説明を怠ったために、読者が混乱してしまったという作品と同レベルのミスであると言える。
作者としてはタイトルにまで出してきたのであるからかなり自信を持っていたかもしれないが、完全にすべってしまっているし、そういう既存のキャラを使って肝である怪異を表現することは、クリエイトする者としては恥じるべき行為であると断じておきたい。
しかも極めて残念なことに、この麿赤兒がなくともこの作品は立派に怪異が表現されているのである。
よくあるネタのパターンであるが、ディテールで断然興味深い内容に高めているだけに、なぜ蛇足としか言いようのないポカをやってしまったのだろうと返す返す惜しい気分で一杯である。