2007-05-30から1日間の記事一覧

【+5】境涯

作者が狙ったのか、あるいは中の人が狙ったのか、何かそういう意図を超越して「怪談の神様はいるのだな」とこの作品を読みながら思っている。 次々と謎深い怪異が有機的に絡みながら、さらに深遠な闇を作り出す。 その暗黙の世襲の中で、自らの宿命を悟りそ…

【+2】ヘルプさん

同じ霊体が長期にわたって現れるという点で、この作品はなかなか貴重な内容であると思う。 また目撃者が複数という点でも評価は高い。 しかしながらしっくりといかないところもいくつかあるのも事実である。 特に問題だと思ったのは、この一連の怪異の視点軸…

【0】Last shot

怪異体験を延々と書きつづり、ボリュームを増やしていこうという意図が見て取れた。 ところがその意図はほとんど効果を上げていないと思うし、むしろお互いの怪異が足の引っ張り合いをしてしまったという印象である。 同一人物が体験しているという共通点以…

【−3】トンネル

作品そのものの講評の前に【パクリ判定】に関するコメントを。 私がこの大会の講評を始めて1週間ほどした頃、講評を全て変えて評点もかなりいじったことがある(今でもこのブログ内に変更前の講評が残っております)。 その中で評点を大幅に変えた作品があ…

【−1】酔いどれ奇譚

酔っぱらっている最中の怪異というのは、夢ネタ同様、信憑性に関する保証を作者が維持できるかに内容がかかっているといっても過言ではない。 作者はオチの部分にインパクトをつけるためにいきなり噛み跡を持ってきたのであるが、この物理的証拠が却って胡散…

【−4】盗み見

妻の「昨日見た夢の話」から始まり、それが自分の見たものと同じだったと嘆息し、せめて夢の中だけでも自由でいさせて欲しいと愁訴する展開。 ところがタイトルは『盗み見』であり、同じ夢を見る根拠が“妻の鋭い勘”であるとする。 一読して出てきたイメージ…

【−3】マロ

この作品も、あやかしの描写に既存のイメージを持ちだしてきたために大きくマイナスとさせていただいている。 ただし、今までの問題とは違う次元での苦言となる。 麿赤兒という俳優、知名度で言えばやはり「?」の部類に入る人物だろう(特徴のある容貌の方…