No.13

2月と3月に1作ずつ、そして残り5作が最終盤に投稿されている。
全体的な印象は、怪異の肝を微妙に外している部分があるように見える点である。
特に長い作品になるほど、その傾向は強くなる。
的外れというわけではなく、それなりに強調する怪異はあるのだが、読者が読みたいと思う部分に届いていないという感じなのである。
『生きた魔除け』や『ヘルプさん』あたりはその印象が強く残った。
むしろ短編の方がストレートに怪異に迫っており、成功した作品が多いように思う。
ただそれでも核心部分を突いているのではなく、特に展開において脇の甘さが目立った。
致命的な問題ではないのだが、例えば『リフレイン』の電話の主に関する記述、『酔いどれ奇譚』の噛み跡の説明、『卒業の記念に』の謎の少女の扱いなどが曖昧なままに書かれてしまった部分である。
何か読者が知りたい内容に関してわざとスルーしているのではないかと思ってしまうほどのはずし方である。
5月の応募作品の方が意欲的でありまた上達もしていると感じるが、熟練した作者が書いた作品を読んでその意図を的確に読みとる訓練が必要ではないかと思う。
自分の言いたいことを書くので精一杯、まだ読者の欲するものを察して書くというレベルには来ていないだろう。
とにかくもっとたくさんの作品を読んで、作者の意図を探ることが肝要だと思う。