No.17

4月から5月に書けて3作品を応募。
一言でいえば、ネタはありきたり、しかしジワリと印象に残る作品が書けると言うことだろう。
特にインパクトがあるわけでもないのだが、何となく思い出すこと出来る地味な作品である。
ただし地味ではあるが、これだけの大会の中で印象が残るというのであるから、それなりに評価は高い。
いわゆる怪談の書き手というよりも、人物描写に長けた作者である。
『午前2時10分』の体験者の金縛り描写説明は数ある金縛り系怪談の中でも圧巻とも言える内容であったし、『悪戯』の追いかけてくる足音に恐怖する体験者の心理描写も緊迫感溢れるものであったと思う。
文章を書く能力においては一日の長があると断言したい。
しかしながらネタがあまりにも貧弱である。
もし大ネタでこの描写力を駆使した作品が読めたらと、勝手に妄想したくなるほどである。
文才はあるが、怪異を引き当てられないというところに落ち着くのであろう。
何か勿体ない気分にさせられるところである。