No.18

5月にまとめて9作である。
作者はいわゆる“怪談初心者”と推察できる。
『はさみうち』『橋の上の出来事』『絵』での怪異の解釈、『金縛り』『かなしばり』での怪異の扱いや展開はどれを取ってもジャンキーであるとは言い難いものがある。
(タイトルに『金縛り』を敢えて持ってくるのは、余程の自信か無知の表れだろう)
また問題作『トンネル』についても、既出作であるとは知らなかったというのが本当のところかもしれない。
怪異を書いたから怪談になるのではなく、怪異を怪異として成立させるためにどのように書くかを会得して初めて、怪談は書けるようになるということである。
怪異がなぜ怖いのか、あるいはなぜ哀しいのか、その本質を見極めた上で作品を書かなければ、単なる記録でしかない。
現状ではまだまだといったところである。
もっと多くの怪異譚を読み、怪異に対する感度を上げていく必要があるように思う。
終盤にもかかわらず、猛烈なマイナス評価が下されたのには正当な理由があるわけである。