No.32

5月だけの応募で6作品である。
全体の印象としては、怪談話としてどうもしっくりこない点が挙げられる。
いわゆる会社の怪談に属する『癒し系?』『幻の…』『朝礼の前に』の3作品を見れば、間違いなく怪談話として洗練された内容ではないと言い切るのは容易である。
とにかく怪異の内容と比べて無駄な記述が多すぎる。
下手をすると怪異の内容そのものを潰しかねないほど的外れな記述内容である。
厳しい言い方になるが、怪異の扱い方についてのセンスが悪すぎる。
どうすれば怪異が恐怖や不思議になるかの判断が出来ていない。
これは他の3作品にも言えることで、結局現象としては不思議な出来事が起こったことは判るのだが、怪談話の怪異として作者自身が昇華させ切れていないという印象である。
ヒントとして、「ない!」と作者が主張するよりも、「ありますか?」と読者に投げかける方が読者のインパクトは強くなるということを提示しておきたい。