No.37

またもや一筋縄ではいかない作者だ…
3月下旬から最終作まで7作の応募である。
最初がQR怪談、二番目が画像怪談と、正直、超破格の作品で登場しており、この2作品だけでも本当に得体のしれない(勿論良い意味で)という印象である。
しかも最終作で大会最高傑作と賞賛されるほどの本格的怪談まで書けるのであるから、ますますとんでもない作者という思いが強くなる。
だが不思議なのは、最終作『境涯』だけがこの作者の作品中で突出しており、いわゆる“成長した”というように見えないのである。
むしろ応募作全部を俯瞰すると、並かそれ以下の評価しか出てこない。
だからQRも画像もどちらかというと“ウケ狙い”の感が強いと思うし、他の作品についても何らかの問題点を明確に指摘できるようなレベルのものがほとんどである。
もしかすると羽化の瞬間が『境涯』であった可能性もあるが、現段階で提示された作品群を見る限りではまだまだ評価できるだけの実力のある作者ではないという結論である。
文章技術の面では評価できる部分もあるので、期待はしているのだが。