【−1】母の霊体験

正直なところ、最後のオチに対してどう反応したらいいのか困惑してしまった。
“金縛り”ネタなので、何かしらの捻りが必要という配慮から出してきたものであると推察するが、完全に滑ってしまったという印象である。
やはり恐怖感を引き出す書き方をしていて、最後の最後になってこのようなギャグっぽい発言が出てしまったことが、悪い意味で意表を突きすぎたというところである。
最後に笑いが出るための下準備があれば(例えば、母親のボケキャラが提示されているとか、前半にそれなりの伏線が張られているとか)、受け入れる余地はあったと思う。
ある意味見事に決まったオチだけに、却ってそのギャップに唖然となってしまった感が強い。
むしろ正確な情報を描写していただけに、粛々と“金縛り”ネタだけ勝負した方が良かったようにも思う。
とにかく中途半端なネタの出し方は、せっかくの怪異の体験を殺してしまう恐れがあるということである。