【+3】八百万

とにかく希少性でいえば、希有と評してよほど珍しい。
というよりも、体内にそのような神様達が入ってくるような体験者に興味津々である。
しかもその神様達が黒い煙と一緒に股間からお出ましになるというのだから、創作でもそう簡単に思いつくようなレベルの内容ではない。
もし体験者自身のプロフィールに神様との接点があるような事柄があれば、是非書いてもらっていた方がさらに怪異の強烈さがアピール出来たかもしれない(書かれていないための減点はないが、あれば確実に高評価の対象である)。
ただ残念なのは、整体師に関する記述で姉の体験を挿入してしまった点である。
最後の一言でこの整体師が霊能者並みの力があるだろうことが書かれており、おそらくこの人物が股間から神様達を吐き出させたのだと読者が推測出来る仕掛けになっている。
それなのに姉のエピソードは、どう読んでも物理的な治療に凄腕を発揮しているとしか見えず、非常に違和感を覚えるし、また流れを断ち切るほど無駄な記述という印象を受ける。
いわゆる“大ネタ”クラス並の扱いでも良いというネタだったのだが、この記述で減点させていただいている。
実に惜しい作品である。