【+1】中身

ちょっとしたあやかしの目撃談としてはそこそこの内容であるだろう。
特にあやかしそのものの描写が過不足なく書かれており、また“夢オチ”でない物的証拠が最後にきれいに提示されており、よくこなれた展開になっている。
ところが、非常に重要な情報が欠落している。
Gパンが干されている場所が明示されていないのである。
状況をよく読めば“室内”で干されていると理解出来るのであるが、やはりこういう状況設定の説明不足はかなり痛いところである。
屋外か室内かの違いは、この作品の場合、物的証拠が“血”であるが故に非常に重要な問題になってくる(屋外の床に“血”が付いていても、あやかしからしたたり落ちた血であると直結させることは無理があるだろう)。
さらに言うならば、怪異が起こった場所が“室内”であることを作者が意図的に触れないようにする効果というものも、内容的に考えにくいだろう。
明らかに作者の書き漏らしであり、他の表記内容から類推可能なので致命傷にまでは至らないにせよ、やはり若干の減点はやむを得ない問題であると思う。