2008-03-20から1日間の記事一覧

【−3】僕が左手で缶コーヒーを飲めなくなった理由

タイトルも長いが、内容はさらに長い。 文章が長いというよりも、怪異の本質と比べて書かれている情報や内容が桁外れに膨大なのである。 しかもその情報のほとんどが、怪異を成立させるために必要ではないものばかりである。 かといって、体験者の心理描写や…

【0】敵味方関係

結論から言うと、いわゆる“見える”人特有の盲点に完全にはまりこんでしまったという感がある。 まずタイトルでもある“敵味方関係”という言葉であるが、これが分かったようで分からない。 冒頭で説明しているのであるが、なぜ兄の身に起こった事件が“敵味方関…

【+3】滞納者

ネタ的にはやはり【平山怪談】を彷彿とさせるものがあり、<特殊なお仕事関連+グロっぽい表記+読者をも圧倒する連続怪異>という部分はコピーではないにせよ、類似性が高いところである。 ただし似たようなパターンになってくると、どうしても【平山怪談】…

【+4】除霊

これは色々な意味で脱帽ものである。 “霊が尻餅をつく”という現象だけで希少性は抜群であると思うし、しかも思わず噴き出してしまうほどの面白さである。 “鎧武者”の霊というおどろおどろしいイメージを読者に固着させながら、最後にその概念を逆手にとって…

【+3】おめかしして

日常の風景の中でふと起こる怪異を表した作品としては、非常によく出来たものであると思う。 若干文章が硬いようにも思うが、過不足なく丁寧に状況が書かれているので読みやすい。 却って文章のぎこちなさが日頃怪異に接したことのない人物が訥々と語ってく…

【+3】山狩り

希少性の面で十分評価すべき作品である。 戦時中の怪談ということもあるが、“山神様”というものが具体的に現れた(しかも人間体ではない)話は滅多にお目にかかったことがない。 加えてその容姿があまりにも圧倒的な異様さであるから、ますます凄さを感じる…

【0】山本君

“落語怪談”であるが、オチが読めたというわけでもないが、笑いとしてはオーソドックスなもので終わってしまっているように思う(一言でいうと「なるほど」という感想で終わってしまうような)。 ただ正調の怪談にするには集団の足音が聞いて這々の体で逃げて…

【0】挨拶

怪異の成立条件がかなり微妙という印象である。 前日までなかった像が翌日には立っていたという事実から、体験者が目撃したのは設置に来た業者ではないかという疑念が間違いなくつきまとう。 結局そのような怪異そのものを否定するに足るケースを未然に潰し…

【−1】コンボ

同じ夜に連続的に起こった怪異であることは間違いないので“コンボ”とみなすことはよいのであるが、どうも無造作に二つの怪異が並べられているだけで、そこに脈絡というべきものが見当たらない。 そのように時系列的な連続性以外に独立しているようにしか見え…

【−1】カエル男

“くだけた文体”というものは、若者らしさや活動的な印象を与える一方で、どうしてもノリの軽さが表面に突出してしまう。 それ故に、怪談話のような負の世界を表現する文体としては敬遠されがちであることは周知の通りである。 この作品の場合も、この鉄則か…

【+1】中身

ちょっとしたあやかしの目撃談としてはそこそこの内容であるだろう。 特にあやかしそのものの描写が過不足なく書かれており、また“夢オチ”でない物的証拠が最後にきれいに提示されており、よくこなれた展開になっている。 ところが、非常に重要な情報が欠落…

【+2】縁

起こった出来事を一つずつ冷静に精査していくと、もしかすると全てが偶然の産物ではないかという気にさせられるのであるが、作品全体が持つ雰囲気によって束ねられているという印象である。 それを一番色濃く出しているのが、最後の一文である。 “鳥居をくぐ…