【+4】除霊

これは色々な意味で脱帽ものである。
“霊が尻餅をつく”という現象だけで希少性は抜群であると思うし、しかも思わず噴き出してしまうほどの面白さである。
“鎧武者”の霊というおどろおどろしいイメージを読者に固着させながら、最後にその概念を逆手にとって根底からひっくり返して絶妙の味を見せてくれる傑作と言っていいだろう。
また全体を通して軽妙なテンポでストーリーが展開しており、これが怪異の面白さを相乗効果的に引き出している。
冒頭の入り込み方なども無駄なように見えながら、全体の雰囲気作りにとって欠かせないという印象である。
ただ惜しむらくは、末尾の締め方である。
やはり“偉業は孫の代まで語り継がれている”というのは、いくら鎧武者の霊を追っ払った武勇伝であっても誇張しすぎではないだろうか。
出来ればもう少し軽い笑いが取れるような言い回し方であった方が良かったと思う(しかしながら問題点としては指摘するが、怪異の価値を貶めるものではないと思うので、減点にするまでのものではない)。
若干不満はあるものの、大ネタクラス以外の作品としてはほぼ満点を出してもいいだろうという判断をさせていただいた。