【0】突然すぎて

個人的には、幾度か似たような体験をしているので、気持ちとしては琴線に触れるという思いである。
だが、似たような体験のほとんどはおそらく夢の中での出来事であったという認識をしているため、この作品の内容も多分そうであろうと推察する。
“優しく肩を揺すられ”たという物理的な異変があったことが書かれているが、これも個人的体験上かなり微妙なものであると考えている。
極端な例で言えば、実際の出来事としてベッドから落ちる瞬間に、夢の中でも落下している場面が登場することがよくある。
この作品の場合も、テレビを見ながらうたた寝ということになっているので、間違いなく不安定な体勢で寝ていたはずである。
うがった見方をすれば、寝ていてバランスを崩した瞬間に、祖父に優しく肩を叩かれる夢を見ていたという可能性が十分考えられるのである。
ということで、この“肩を叩かれた”という現象については客観的な物証というには弱い内容であると判断し、やはり“夢オチ”の可能性が高いという見解である。