【+1】間から

怪異の肝である“女性の顔”の見え方がもう一つよく分からない。
スポーク越しに見えかつ目元と鼻筋だけしか見えないという表記から想像できるのは、本来なら見えるはずの顔の部分が切り取られるようにして見えなかったという情景である。
もしこの光景が正しければ(さらに顔が至近距離にあったとなれば)かなり強烈な怪異であると思うのだが、如何せん、そこまで大多数の人を納得させるだけの表記が足りない。
読者の想像力を掻き立てる書き方は怪談にとっては有効であるが、それは必要最小限のパーツがあればこそ可能なものであり、この作品の場合、そこまで感じさせるものがなかったように思う。
ただ考えれば考えるほどこの怪異はなかなか恐怖感を煽るものであるという印象が強くなってくるので、何かキーとなるパーツが欲しかったところである。
見えた顔の位置によっては相当怖い話に仕上がったように思えてならない。
時間にすればほんの数秒程度の怪異であるが、それなりの描写説明は必要であるだろう。