【＋２】都市伝説

超−１

怪を語れば怪が起こるのたとえを地でいく内容であり、かなり希少な怪異であると思う。
内容を読むと、この都市伝説そのものに何か曰く因縁があるというのではなく、むしろその話を披露した場所なりのシチュエーションがたまたま悪かったために変なものがくっついてしまったと言うべきだと思うが（披露された話と実際に遭遇した怪異とは、生首のセリフや事故に遭うタイミングなどの点で若干の相違があるとみなせる）、酷似した条件のために怪異が発動してしまったのだと推測される。
書き手としては、都市伝説といういかにも胡散臭いトピックから飛び出してきた怪異であるために、いかにして信憑性を読者に植えつけるかでかなり工夫しているように感じる。
怪我をした友人たちがこぞって罵倒する場面もそれの一つであると思うのだが、ただ逆に強調しすぎて妙に浮いてしまった感が強い（事故の状況を取材して書き出すのが理想なのだが、それが出来ないために理不尽な事故への怒りをあらわにすることでリアル感を出そうとしたのだと推測するが）。
むしろ体験者本人が遭遇した生首の怪異と、そして事故をした状況などをもっと細かく書いた方がリアルな展開になっていたと思うし、それだけで十分強烈な怪異譚になっていただろう。
都市伝説が現実のものになるという展開であるだけに、どうしても先に怪異の中味が判っており、それ故に相当強烈なインパクトのある内容がないと高い評点が出せないというところである。
評点は伸びなかったが、十分水準を超える内容の作品であると言える。