【+1】サファリパーク

怪異の内容は非常に珍しいものであり、その不条理さから言えば相当のレベルの高い怪異であるだろう。
しかしその怪異の見せ方に少々問題があるという印象もある。
書き手としては“アフリカ屋”という名前の店から野生の動物が突如として現れる怪現象に焦点を当てていこうという意図があるのは明白である。
これはある意味、不条理に満ちた怪異の中で唯一謎の手がかりを持つキーワードとして注目すべき部分であることは確かなのであるが、それを作品中で提示する段になって勿体ぶったように謎解き風の展開にして、さらにそのネーミングについての解釈まで施してしまっている。
結局、その段取りが大掛かりなために、せっかくの怪異が持つインパクトが薄まってしまった感が強い。
勿論怪異とその店の名前との因果関係は魅力的であるが、ここまで長々と話を延ばしてしまうのはちょっとやりすぎという気がする。
むしろ、店名が“アフリカ屋”だったと、さらりとオチとして触れた方が投げっぱなし感が強く、怪異そのものとも相まって、もっと強烈なインパクトが出たのではないだろうか。
あまりにも気が利きすぎる店名に気を取られて、怪異本来の持つ面白味を活かしきっていないと言える。
全体としてはプラス評価であるが、構成次第ではもっと高く評されてもおかしくない内容であると思う。