【−２】ネコのナキ声

タイトルから見ても、猫の鳴き声と赤ん坊の泣き声の類似性を利用して怪異を展開させようという書き手の意図は理解できるのだが、残念ながら、その発想そのものが陳腐なのである。
また怪異の肝と思われる“赤い目”の目撃の描写が舌足らずであり、文章全体の稚拙さと相まって明らかな書き損じをやってしまっているという印象を持ってしまった。
さらに言えば、この赤い目と鳴き声との因果関係も微妙であり、多少体験者の主観的な思い込みもあるのではないかというところで落ち着いてしまった。
詰まるところ、内容的にも非常に幼稚っぽい“こわいお話し”というイメージだけが残ってしまった。
書き方からすると、ある程度意図的に子供っぽさを残そうとしているのではないかと推測するが、それが却って仇となっている感が強い。
しかもそこで描写部分で要領を得ない説明となってしまっては、印象は悪くなる一方である。
結局、怪異そのものも怪談マニアを唸らせるレベルではなく、非常に凡庸な作品で終わってしまったという感じである。
マイナス評価はやむを得ないところであるだろう。