2009-04-26から1日間の記事一覧

【−1】午後四時の一致

事故や病気で死ぬ者がその最後に別れを伝えにくるという典型的な話であり、いくら書き方を変えてもどうしても先の展開が読めてしまっている。 この作品の場合、午後四時という時間に着目して怪異がほぼ同時刻に現れていることを強調することで、変化球を投じ…

【+3】白

典型的な“旧家の因襲が破られて怪異が起こる”パターンの作品であるが、このシチュエーションの話だけはお決まりの展開になったとしても、それを上回るカタストロフィーの激しさに圧倒される。 ただこの作品について言えば、話し手自身が当該の人間ではなく伝…

【−2】ネコのナキ声

タイトルから見ても、猫の鳴き声と赤ん坊の泣き声の類似性を利用して怪異を展開させようという書き手の意図は理解できるのだが、残念ながら、その発想そのものが陳腐なのである。 また怪異の肝と思われる“赤い目”の目撃の描写が舌足らずであり、文章全体の稚…

【+1】池

非常に臨場感のある展開であり、読み応えのある作品という印象を持った。 ただし怪談としては問題も幾分含んでいるという印象もあった。 まず“夢オチ”ネタであるという点は、やはり説得力の点でどうしても見劣りする。 最初に池に向かって無意識に入っていっ…

【−2】にゃあ

内容をかいつまんでしまえば、轢かれた猫の死骸のそばに猫の霊体を目撃したというだけのものである。 そのエピソードを軸に、猫の死体はなぜなかなか見当たらないのかなどの余談を付け加えたり、体験者の心情の細やかな変化を書き綴ったりしているのだが、如…

【0】一帖

凛とした文章で書かれており、あやかしの登場する場面の静謐さがよく出ているという印象である。 しかしながら、数多くの目撃があるにもかかわらず、坊さんの容姿についての情報はただ“でかい顔”だけであり、怪異の目撃談としては物足りなさを覚えるところで…

【+1】湿り気

冒頭で“サイパン”とくればほとんど最後の展開まで読めてしまうのだが、逆に定番であるために丁寧に状況を書くことで凡庸さを打ち消すことに成功していると思う。 評価できる点は、単なる気配や感触だけではなく、実際に日本兵の霊体を目撃していること、そし…

【+2】家具調テレビ

テレビと霊体は相性がよく、テレビを介して霊がコンタクトを取ったり、画面に霊体の顔が映る写真が撮れたりすることも結構ある。 だがこの作品のように、テレビに特定の霊体が憑依し、画面から飛び出して現れるというケースは非常に珍しい。 不思議で奇怪な…