【−1】集会

不思議なものを見ただけの目撃談だが、実に回りくどい書き方をしており、しかもそのまどろっこしい講釈の間に読者はその正体に気付いてしまっている始末である。
結局勿体ぶった書き方をしているが、単純に言えば“猫の顔をした人間体が公園にたむろしていた”ということである。
こういうインパクト勝負の内容を持って回った言い方をしても、特に内容がふくらむわけでもなく、それどころか先に読者に悟られてしまって突っ込まれてしまうだけである。
やはり怪異の本質にあった書き方ではないという印象であり、書き手が怪異を上手く処理できていないという感想である。
凝った書き方だけでは怪異を彩ることは出来ないし、中には凝りすぎて逆に怪異を埋もれさせてしまうこともあるわけで、そのあたりの案配をもっと汲み取る必要があるだろう。
(ちなみにこの体験者であるが、獣の顔を持つ人間体に遭遇しすぎじゃないかと思ったりもする。もしかすると“狼の眉毛”を持っているのかもしれぬ)