【−2】訪れるもの 二題

それぞれ単独で読んでもパッとしないものを重ね合わせたのだが、結局重ね合わせた目的がはっきりすることもなく、パッとしないものを重ねてもパッとしないという見本になってしまった感がある。
同じ体験者という部分では共通項があるのだが、訪れたあやかしのカテゴリーがまるで違うために、“二題物”としての意義が感じられない点が、この作品の底の浅さを露呈していると言っても間違いない。
“二題物”にするためには、それなりの相乗効果というものがないといけない。
それがないのならいくら共通項のあるものを合わせても、ほとんど強味にはならないだろう。
そのあたりのコンビネーションの面白さを、書き手がはき違えているとしか言いようがないわけである。
しかも間が悪いのが、笑いを取ろうとして完全にすべっている。
特に前半のオチはひねりすぎていて、スッと読んだだけでは何を意味しているのかわからないために笑えないし、意味がわかったとしても笑えない。
さすがに怪談話でオチがすべってしまったことによる減点をしようとは思わなかった。
結局、怪異よりも体験者の感覚の不思議ぶりだけが目立ってしまった作品と言えるかもしれない。