2007-02-24から1日間の記事一覧

【−1】漂流

結論から言うと、これだけの怪異では“投げっぱなし”にせよ“1ページ”にせよ、インパクトに欠けるということである。 つまるところ幽霊目撃譚だけであり、その霊体についての情報が圧倒的に少ないために、単に「見た」という事実だけが書かれているに過ぎない…

【0】オモリ

少々不謹慎な表現であるが、いわゆる“ご当地”怪談と言うべきものである。 明治時代、北海道の開発に政治犯などの囚人が駆り出され、その多くが寒さと飢餓のために死んでいった。 しかも死んだ後も埋葬されず、セメントや土砂の代わりに埋められたりした遺体…

【−3】自爆

怪談の信憑性にかかわる問題が生じる部分とは、怪異自体の発生にまつわるところではなく、むしろ怪異同士の連携や、怪異にまつわる周辺事項に集中しているように思う。 現実的でない怪異については、作者自身も慎重にリアリティーを維持しようとする意思が働…

【+5】浜辺

純粋な“戦争怪談”として珍重すべき作品。 “戦争怪談”を語れる直接体験者は多分この10年で絶無に近い状況になるだろう。 特に戦場の怪談の体験者は年齢的に80才を超えており、現在最も収集・記録が急がれるといっても過言ではない。 しかも内容が、南方の…