2009-03-22から1日間の記事一覧

【0】通ります

怪異の判断が非常に微妙な作品である。 気配や音が玄関から2階へ、さらに屋根へと昇っていくとあるのだが、それを決定付ける流れがはっきりとしない。 飼っている犬がだんだんと追い詰めているという解釈自体は面白いのであるが、実際の怪異とみなしている…

【0】ぼくの伯父さん

なかなか味のある作品である。 伯父さんのキャラクターが強烈に前面に出ることもなく、かといって当然伯父さんなしでは話が展開しないところが、この作品の雰囲気を作りだしていると言えるだろう。 いわゆる不思議体験としては、伯父さんの“見えざる力”を確…

【0】対座風呂

あやかしとの遭遇譚なのであるが、全ての点において中途半端という印象であった。 風呂場に現れたあやかしは描写から考えるとなかなか怖いと思うのであるが、それに対する体験者のリアクションがオーバーとしか言いようがなく、そのギャップに怖がっていいも…

【−1】手

この作品にあるような怪異も、今更ながらという感じであり、数多くの類話があるパターンであることは言うまでもない。 結局そのような陳腐な怪異を読ませるレベルに引き上げるためには、書き手の筆力かあるいは怪異のディテールの特異さに負うところが大きい…

【+1】添い寝

鼾も呼吸や発声と関わりのある生理現象であるから、やはり個体の識別は十分可能であると思う。 そしてタイミング的にも、元夫がそばに帰ってきていると判断する方が正しい状況であるだろう(たとえ決定的証拠がなくとも、そして体験者の解釈が間違っていよう…

【0】そういうもの

怪異についてはいろいろなバリエーションはあるものの、ほとんどが“よくあるパターン”であり、また音だけの怪異であるだけにやはり弱さの方が先に立ってしまった。 丁寧な書き方で、下手をすればつまらない展開になりそうなところを何とかこらえているという…