2011-04-24から1日間の記事一覧

公式エントリーブログ講評に関する覚え書き

とりあえずブログ内での講評は完了したわけだが、今年はこれで終わるわけにはいかない。公式エントリーブログ内で評点を出さなければ、参加したことにならないのである。ということで、これから182編の作品を再講評することにする。 ここで一応念のために…

『観察』

結論から言うと、傑作になり損なった怪作。あらゆる負の感情を巻き込んだ内容の怪異譚であるのだが、正直書き手が持て余してしまったという印象である。 怪異は大きく二つの階層に分かれる。体験者が目撃している隣家の家族のあやかしの存在が一つ。家庭内暴…

『暑い夜に』

昔の思い出と共に甦る不思議譚という印象で、なかなかいい感じに作られていると思った。体験者のその当時の記憶を書き手がしっかりと再構成しており、読み手も安心して追体験することが出来る内容であるだろう。 ただし客観的な怪異の記録としては、この体験…

『視線』

一応“投げっぱなし怪談”の部類に入るのであるが、ただ書かれるべき内容を削ってまで作ったというレベルであり、情報量が圧倒的に足りないと言った方が正しいかもしれない。最低限度怪異が起こっていると確認は出来るが、しかし、その怪異そのものについての…

『月夜』

非常に格調高い文章によって綴られているのであるが、残念ながら怪異の本質を鑑みると、この文調が決して成功しているとは思えない。むしろ怪異の内容に比べると上品すぎて、しっくりこないという意見である。 怪異はまさにインパクト勝負の内容であり、迫っ…