2007-04-22から1日間の記事一覧

【+3】ワンボックスカーにて

適度な長さと読みやすさによって、かなり読み応えのある作品に仕上がっている。 怪異としてはそれほど強烈なものではないが、オーソドックスな怪異を臨場感溢れる筆さばきで書ききっているという印象である。 だがオーソドックスといえども一昔前のような古…

【+2】廃院を巡る不条理

人の住まない廃墟であるという理由だけで、あやかしはそこにたむろし始める。 特にその土地に関係しない霊であっても、人の住まなくなった場所のような“陰に籠もった”所に集まってくるものである。 この作品に登場する廃院もそのような場所の一つであり、不…

【+1】あみんぼ

期せずして“胎児の記憶”のまつわる話が連続して出てきた。 普通は早い者勝ちなのであるが、今回に限って言えば、後の方の作品の方がよくできていると思った。 この種の不思議譚の最大の弱点は、生まれる前の記憶が本人自身の体験によるものではなく、誰かか…

【+1】カマキリ

偶然の一致と思える怪事に出くわすと、人間はそれらを結びつける原因をどうしても探し出してしまう。 その心理は別に悪いとは言わないし、それが誰もが納得しうるだけの原因であれば、それはそれで人智を超えた存在のなせる業として怪異譚となる条件を持てる…

【+1】覗き、笑う

雰囲気を作る意図からであろうか、やたらと話を引っ張って、怪異の内容に不釣り合いなぐらいに長い話になってしまった。 怪異の肝としては体験者自身の顔が写った心霊写真が、いわゆるスポットと呼ばれる廃屋の中で写されたというだけの内容である。 個人的…