2009-03-30から1日間の記事一覧

【−6】気配

まさに“気配”だけで、実際の怪異が成立していない。 姿も見なければ、足音もなく、また体験者以外の証言者もいない状態で、「気配を感じて怖かった」と言われても、本当に額面通りの受け取り方しかできない。 要は超常現象としての怪異は起こっておらず、た…

【−2】念のリサイクル

体験者のキャラクター作りに失敗したために、話の主題が怪異なのか体験者の性悪さなのか判断がつきにくいことになってしまった。 怪異のきっかけはあくまで体験者の非常識な物欲によることは明白なのであるが、ただここまで体験者のキャラクターを悪者に見せ…

【−1】夕焼け

いろいろな工夫がなされているのだが、詰まるところ、怪異の内容が弱すぎるためにどれもが今ひとつのところで活きていないように感じる。 “夕焼けが怖い”という意外な告白から始まり、その不思議な体験を物語るのであるが、その部分の流れるような話しぶりは…

【0】道を這うもの

怪異の内容としては凄く惹かれるものを持っている。 ただしその怪異のさわりだけを読み聞かされたという感じであり、あらゆる面で中途半端という印象だけが残ってしまった。 書かれてある内容は体験者の目撃談だけであり、言うならば、怪異の概略だけが提示…

【−3】風通し

怪異を表現する手法としては、大まかに分けると2つのものがあると思う。 一つは克明な説明と描写で余すところなく徹底的に怪異を表現する方法、そしてもう一つは怪異の決定的瞬間だけを切り取って強烈なインパクトを醸し出す方法である。 この作品における…

【0】えびす様?

メインとなっている怪異については、民俗学的解釈も含めて、非常に興味深い内容であると感じた。 特異な漂着物は、水死体ですら“えびす様”として丁重に取り扱う民間信仰があり、その伝統に則って不思議な形の流木を拾ったのであろう。 ただそれが巨大な蜘蛛…