2010-04-25から1日間の記事一覧

【−5】夢、あるいは……

体験者が、果たして本当にこのような体験をしたのかという、非常に根本的な部分から疑問を感じてしまった。 体験者自身が駅で遭遇した女に関するコメント自体が、非常に曖昧で要領を得ないものであるという印象が強いのである。 遭遇した女の話している内容…

【+1】雪桜

“動物ネタ”定番の、お涙頂戴の文章とはややおもむきが異なるという印象を持った。 全体的に感情をダイレクトに表現する言葉を抑え、体験者と犬の交流も描写中心でまとめ上げたために、ウエットではあるもののべたついた印象は皆無であり、いわゆる嫌味のない…

【+2】最後の封印

大ネタになり損なったという感が非常に強い作品である。 怪異の内容については申し分なく、とりわけ興味を覚えたのは、間違って本物のお札を剥がしたために封印が解かれてあやかしが現れたという部分。 まさに小説や映画を彷彿とさせる展開であり、ここらあ…

【0】なげき

怪異としては小粒、それを上手くまとめたという感じの作品であり、良くも悪くも標準的なレベルの作品であると言ってしまって終わりそうである。 おそらく書き手としては、『なげき』というタイトルから察するに、現代社会の殺伐とした空気をこの怪談の中で訴…

【0】生ソーセージ

廃墟探検で怪異に見舞われる話の中でも、“一緒に行ったはずの者が全く違う記憶しか残していなかった”という怪異のパターンは、よくある話のレベルになりつつある。 この作品の場合も、話者は実際に廃墟に入ったとしながらも、もう一方は入っていないと言う。…

【0】待合室の夜

結論から言ってしまうと、怪異の内容と文章の長さが合っていない、つまり怪異と関係ない部分の記述が冗長すぎてかなりだらけた印象を持ってしまった。 特に怪異が起こるまでの、体験者の母親に対する怒りのぶつけ方がしつこすぎる。 例えばこの怒りが怪異の…