2008-02-28から1日間の記事一覧

【+5】一枚の写真

実録的な作品であり、かなり詳細なやりとりで心霊写真について言及されている。 正直なところ、写真の構図などを文章で書き表すのは非常に難儀なものの部類に入るだろう。 当然この作品でも怪しげなものが写り込んでいる様子を描写しているのだが、やはり完…

【−2】関帝廟

読後の感想として真っ先に出てきたのが“罰当たり”系怪談である。 彼女の特異体質を知りつつ関帝廟へ誘ったのは“何か”を期待したのではないかという邪推も可能であるし、実際彼女の痛みを感じた箇所に興味を持ってインターネットで関羽の情報を探してみるとこ…

【+1】憑物音痴

憑依しているかの判定を味覚で決めるという話は初見である。 ただ憑依されてしまうと感覚の一部がおかしくなるという話はあるので、まんざら胡散臭い判定法ではないと思う。 しかし、怪異のメインがこの判定方法にあることは明白なのであるが、体験者の恐怖…

【0】神の使い

この作品で一番違和感を覚えるのは、女学生の白蛇に対する意識が二転三転しているように見える点であろう。 遭遇時に恐怖感を覚え、そして祟りの可能性を考え、祖母の話から神の使いとしての信頼感を持つに至る変化は、この短いストーリーでは予定調和的な結…

【+2】ぶれ

非常にコンパクトにまとまった作品であり、怪異を的確に書き表していると言っていいと思う。 欲を言えば、自分の後ろにあった顔の露出していた状況に関する記述がもう少しあれば、ほぼ完全な内容になっていただろう。 怪異そのものについては、おそらく何か…

【−4】私はここ

ストーリーとしては完全にあらすじのみ、事実関係だけが理解できる程度の削り方である。 これでは怪異を表したものであったとしても、恐怖云々を感じる以前のレベルである。 まさに箇条書きのプロットメモ以外の何ものでもない。 “怪談”というジャンルから考…

【+3】線路

具体的な時期や場所が記述されており、実話を超えた“実録”怪談としての味わいが強い。 また文体が徹底した論文的な書き言葉でまとめられており、実録的な印象をさらに強固なものに仕上げていると言えるだろう。 意図的というよりもそのような文章を書き慣れ…