2008-03-30から1日間の記事一覧

【0】泊まれない…

“オノマトペ”はわずかな言葉によって読者に対して最大公約数的な情景を想起させることができる。 しかし肝の部分でそれを多用すると、逆に具象性を失って中途半端に分かった状況に陥ってしまう。 この作品は、そのオノマトペの扱いで失敗したパターンと言え…

【+2】カラオケ

非常に希少性の高い怪異である。 霊体はある特定の思念に支配されているが故に、固着した思考しかできないというのが通説である。 だから生身の人間の言動に対して、行動なり表情なりといった単純なリアクションを取ることはあっても、まず“言葉”そのものを…

【+3】女の子の秘密

他愛のない話からスタートし、どのような展開となるかと思いながら読み進めていった。 結論から言えば、新しい試みがそこそこの効果を見せたという印象である。 怪異自体はかなり突拍子もないようなあやかしの目撃であり、普通のパターンでいけば“投げっぱな…

【+1】幽霊家族

もっと強烈な怪異譚になるはずの要素を持ちながら、最後まで不発のままで終わってしまった感が強い。 話の中心が、より微小な怪異の体験者である兄を中心に書かれているために、より鮮烈な妹の体験談が触りだけで終わってしまっているところが物足りなさを感…

【+3】見

“あったること”の希少性よりも、とにかく“怪談”として魅力を感じる佳作である。 最初は子供時代に出会った“見える”人との体験談程度と軽く見ていたために、最後のどんでん返しには脱帽した。 本当に少年は見えていたのかどうなのかが、彼の死によって永遠の…

【0】くねくね

この作品も構成面で失敗していると思う。 町中で思いも掛けないようなあやかしを目撃したというだけの展開であるが、こういう突拍子もないあやかしを文章として読ませるためには、やはり最後に「あやかしと見なした」根拠となる異質な特徴の表記で締め括るの…

【0】窓の外から

読みやすい描写という点だけ言うならば、非常に良くできた作品である。 怪談語りの筆法としては、ある意味、王道の一つであると言ってもいいだろう。 それだけ優れた描写なのであるが、如何せん、ネタがあまりにも平凡すぎるのである。 この程度の体験を単な…

【0】ビードロ

簡潔にまとめられているのは良いのであるが、要点だけが箇条書きのように提示されているだけで、怪異そのもののディテールに関する描写がほとんど書かれていない状態である。 骨子だけがきれいに並べられているので、舌足らずな部分もなく、いかにも正確な怪…