2011-04-21から1日間の記事一覧

『地下のレッスンスタジオ』

こういう地下にあるスタジオというのは霊の溜まり場になりやすいのか、怪異現象が起きたという話を結構聞く。だが、この作品での怪異はその中でもかなり強烈な部類に属する。最初は視界にチラチラと何かが映り込むという錯覚のようなところから始まるのだが…

『可愛いお願い』

この作品の問題点は、既に他の講評でも出尽くされているように、この少女が本当にあやかしであると証明するために、体験者の認知のスピードと、両者の距離を明らかにすべきというところに集約されてしまう。 まずこの怪異があった時の人の混み具合を明示し、…

『酔煙』

かなり珍しいあやかし目撃譚である。煙の状態でありながら明確な意志を持ち、また鳥を金縛り状態にしてみせたりする能力も持ち合わせている。最後に鳥居をくぐって社の方へ飛んでいったとあるので、おそらく神様かあるいはその眷属だったのではないかと推測…

『川姫様』

書き方で全てをぶち壊してしまった作品である。 まず冒頭のwikipediaの説明記述部分であるが、これを持ってきた目的がよく分からない。川姫というメジャーではない妖怪の遭遇譚であることから、こういう権威的なものにすがろうとしたのかもしれないが、この…

『小さな石碑』

怪異自体は“肝試し”ネタの定番であるが、かなりきつい内容になっていると言える。しかしこの作品の場合、怪談としての面白味という点ではかなり劣るという意見である。 この作品を読んでみると、客観的“怪談話”と主観的“体験談”との相違というものが明らかに…

『仮眠』

怪異そのものは正直平凡であり、そして小粒であると感じる。だが、丁寧に書くことを心掛ければ怪異は活きるし、信憑性も増すというお手本のような作品であるだろう。 登場人物に関する軽い紹介と簡単なシチュエーション説明が終わると、さっそく怪異が始まる…

『四十九日』

人は四十九日の法要が終わるまでは、生前と同じような状況で時が来るのを待っているという。それ故に、この日が来るまでは、このような死者が自宅などで何らかの現象を起こしてしまうという話はよくある。題材としては平凡であるが、ただ起こっている怪異そ…