2009-04-01から1ヶ月間の記事一覧

【+2】家具調テレビ

テレビと霊体は相性がよく、テレビを介して霊がコンタクトを取ったり、画面に霊体の顔が映る写真が撮れたりすることも結構ある。 だがこの作品のように、テレビに特定の霊体が憑依し、画面から飛び出して現れるというケースは非常に珍しい。 不思議で奇怪な…

【0】ギシギシ

目の前にあったものが突如として全く異なる外観を呈して体験者を唖然とさせるというパターンの怪異である。 このパターンの場合、一番の妙味は気付く前後の外観のギャップをいかに見せつけるかというところにある。 そしてその気付く瞬間の切り替えをどのよ…

【−5】あいつのラジオ

信憑性に多々問題がある作品である。 前日に事故死した友人と一緒に登山をしたという内容になるのだが、次の日に登山に行く予定があるのを家族が知っていながら電話一つよこさないという展開が非常に胡散臭い(“携帯もない時代”と断り書きがあるが、携帯がな…

【−1】クールドライブ

怪異の肝となる描写部分が非常に理解しづらいために、光景のイメージがほとんど出てこなかった。 殆どの講評で指摘されているように、運転手が両手であやかしの腕を掴んでいたら、誰がハンドルを持っているのかが全く説明できていないのが最大の難点。 あや…

【0】代車

轢き逃げされて死んだ警官が犯人探しのために夜な夜な一人検問しているという話は、かなり有名な都市伝説である。 季節外れの服装をしていて、不審に思った運転手が幽霊であると気付いて大騒ぎになるというオチであり、まさにこの作品の展開とほとんど同じと…

【−4】見る人、見ない人

怪談話に書き手や体験者の心霊観を挿入する、あるいはそれを主題として怪異を書くことは、あまり賛成ではないが、決して否定的ではない。 ただしそれを公開するためには、それだけ高いレベルの怪異を提示する必要があると思う。 要するに“あったること”だけ…

【0】宿る

シリーズの最終作となるだろう作品であることは理解するが、ルールに則って単独作ということで講評をおこなう。 怪異としては死者が現れるという単純なものであり、それを何のひねりもなくストレートに書いているだけの内容である。 それ故に評価としては、…

【+1】指先

同じことを繰り返しながら徐々に内容がエスカレートしていくパターンの作品である。 非常にテンポよく話が進んでおり、怪異としても希少と感じるところがあり、なかなか面白い内容であると思う。 勿論、指先に生えた毛であるから、体験者が痛みを感じるかな…

【−5】住活

とにかくダラダラとした会話調で冗長な展開をしており、ある意味読ませる文体であると思うが、内容が空疎であるため疲弊感を伴うレベルであった。 結局印象に残ったのは、不動産屋が見せる訳知りの対応の胡散臭さであり、魅入られたように嬉々として家に通う…

【−1】怖いんだろ?

あやかしに関する描写が分かりづらいために、怪異そのものがぼやけてしまった感が強い。 最初に“フロントガラスの右奥”という表記があるために、あやかしが自動車のどこかにいるかのような印象が植えつけられてしまった。 その後路上にいることが判るのであ…

【+3】満月

正統派の“業界ネタ”の怪談である。 現れるあやかしの様子も非常に不気味なものがあり、またその死者に対して感覚が麻痺している部分が裏社会らしいリアルさを持って書かれている。 ネタとしては適度なグロさもあり、また因果関係が明瞭であり、その明瞭さを…

【−1】絶対無理

物の怪に取り憑かれた人間が尋常では考えられないようなことを引き起こすのはよく聞く話である。 特に神隠しにあったように、短時間で相当距離離れた場所に忽然と現れるという話も典型的な話であると言えるだろう。 この作品でもこのパターンを取り上げてい…

【+3】水底より

非常に希少な怪異体験であると思う。 体験者が見たものが水面に浮かぶ巨大な牛という珍しい存在であるという点もさることながら、このあやかしが見えていないはずの叔父が敏感に感応して古くからの習俗に従った作法をおこない、さらにそのお供えをあやかしが…

【−1】墓参り

怪異の現象を体験者個人が解釈することは別に構わないのであるが、それを作品内で出すか出さないかは書き手の判断である。 解釈が妥当なものであり読者が納得するレベルであれば、それは非常に好ましい存在になりうるが、独りよがりなものになっていれば怪異…

【−1】4階

定番の霊体目撃談であり、それだけに陳腐の印象から抜け出ることが出来ていない。 ある程度話半分に読んでいても何となく内容は掴めるのであるが、しっかりと文章を読んでいくとかなり雑な描写になっているのが分かる。 例えばフロアの中の規模や様子も分か…

【0】帰り道

大阪と兵庫の県境にあるダムと言えば“一庫ダム”、関西では有名な心霊スポットである。 それ以外にめぼしいダムがないので、おそらく間違いないところであるだろう。 それを考慮するとかなり希少な内容であるのだが、明確な記述がないため、そのあたりの追加…

【+1】保護者

“そいつ”の性別が女性であることが最初から分かっていたならば、もっと評価が高くなってもおかしくないという感想である。 書き手としてはサプライズを狙ったのだと推測するが、ここまで純な“青春小説”風な書き方に徹していたのであれば、ベタベタでもいいか…

【−1】オレンジの太陽

一言でいえば取材力不足のために、謎が中途半端な形で残ってしまった。 心霊スポットへ行った霊障であると思うし、42度というとんでもない熱が出たこともありうると考えるのであるが、その“空白の10日間”の客観的状況が非常に曖昧なのである。 意識が朦…

【0】しりとりしよう。

非常に気味の悪い印象を与えてくれる点では評価できるが、怪異の信憑性の面で気になるところがあるために高く評価することが出来なかった。 まず怪異の肝が“夢”である点。 “夢オチ”がいけないというのではなく、体験者の見た夢というのが父親の話の反映で起…

【−4】霊感のある人

必然性があるならば“見える”ということを表記しても構わないと思うが、必要以上にそれを強調してしまえば色々な面で差し障りが生じてしまう。 この作品では、いわゆる心霊談義がなされているわけで、その点では“見える”ことを最初から提示しておくのに異論は…

【+2】急がば回れ

仕事中に横着をしたばかりに霊に睨まれて事故に巻き込まれてしまうという、典型的なパターンの内容である。 ある意味ベタすぎるぐらいの展開であり、ディテールでの特殊性は認識できるものの、やはり希少性の面ではあまり高く評価できる怪異ではない。 だが…

【−2】祖父の葬儀

葬儀ネタとしては、あまりにも怪異のレベルが低いと言わざるを得ない。 “ざわざわした雰囲気”の具体的な描写がないために、厳しい見方をすれば単なる主観の産物ではないかという印象を拭い去るまでに至らないというところである。 特に葬儀の場では突拍子も…

【−2】ふたつの想い

冒頭から“鬱病”とあったために、この段階で厳しいという判断であった。 病気に対する偏見というよりも、精神的に不安定な人間の怪異体験というものが信憑性の面で絶対的に弱いものとなる恐れがあるからである。 例えば、体験者に対する猫の様子一つとっても…

【0】ストーカー

あらすじ未満という内容なのであるが、それでも個人的にはこの顛末を知りたくてならないという気にさせられた。 ストーカー行為で自殺した女性が霊となって加害者宅で一緒に住んでいる、しかも加害者は彼女の死を知っている節がない… こんな衝撃的な内容は一…

【−6】マンションの隣人

まさに都市伝説を地でいく内容の作品である。 ただし超常現象と言えるだけの怪異が起こっていないことは明らかである。 ほとんど寝泊まりするために帰っているだけの住まいに見知らぬ者が住み着いているというのは、直接的な恐怖を催す内容であり、特に女性…

【−2】黒ギロチン

結論としては、書き手が体験者の言うままを書き付けただけという印象であり、怪異の本質を見極めて書いたとは到底思えない内容ということである。 いきなり黒い刃物のようなものに斬りつけられたことは怪異として認めることは出来るが、その前後に書かれた内…

【−1】かみふうせん

怪異のシチュエーションがまさに男女のドロドロ関係そのものなのだが、その割には非常に素っ気ないほどあっさりとしている。 全体的にぶつぶつとちぎったような文章からくる印象も影響しているようにも思うが、ある程度長期間にわたって起こった怪異であると…

【0】メリーポピンズ

怪異に遭遇した体験者の感想なり印象というものは、怪異を語る上で貴重なものとはなりうるが、決して絶対の事実ではない。 この作品における怪異の原因は“1年前に歩道橋の階段を滑り落ちて亡くなった児童がいた”というものであり、体験者自身もその光景をフ…

【−6】ゲーム脳

実話怪談というものは、その主題である怪異が世の中の常識では測れない内容であるだけに、シチュエーションや設定に関して絶対に事実と異なることを書いてはならないという暗黙の了解がある。 それがたとえ話者の思い違いであるとしても、確認もせずに書いて…

【0】再会

一言でいうならば、怪異体験と同級生の死とが強引に結びつけられているという印象である。 つまり両者を繋ぐ“必然性”が感じられないのである。 おそらく何らかの関連性はあるものとして読むことは可能なのであるが、それが自然にくっつかない。 やはり一番の…